【AIインタビューによる自主調査レポート】
Z世代の新生活準備、「SNS検索」一強時代に変化?
「店舗回帰」と「情報遮断」のリアルな実態
自主調査の背景
新生活シーズン、Z世代はどのように情報を集め、どこで買い物をしているのでしょうか?
本調査では、これから新生活を迎えるZ世代100名を対象にヴィアゲート株式会社が展開するAIインタビュー(※AIが回答者とチャットで会話を行い、質問や回答に対する深掘りを自動で考え、進めるインタビュー)を実施。
さらに、得られた膨大な定性インタビューコメントへテキストマイニングを中心とした分析と定量化を施しながら、「いつ、どこで、何を買うか」、これから新生活を迎えるZ世代のリアルな購買行動と、その裏にある心理を深掘りしました。
調査結果から見えてきたのは、「SNSで情報収集」というこれまでの定説だけでは説明しきれない、堅実で合理的なZ世代の姿(=Insight)でした。
調査結果の要約
- 購入品目:
生活必需家電(冷蔵庫、洗濯機)への関心が高く、家具は「収納」「ベッド」が中心。 - 情報収集:
「SNS」が最多だが、約3割が「情報は特に見ない/参考にしない」と回答。
情報の信頼性をシビアに見極める姿勢や、直感重視の傾向が見られると共に、PRへの警戒感や親・店員のリアルな助言を重視する傾向も見受けられました。 - 購入場所:
日用品は「ドラッグストア」などの実店舗が圧倒的。
一方、高額品(家具・家電)は「実店舗で現物確認 → ECで購入」というショールーミング行動が、Z世代には想像以上に定着しています。 - 購買行動:
失敗したくない高額品ほど、デジタルとリアルを何度も往復する複雑な購買検討ジャーニー(購買検討の過程)を経ています。
目次
- 購入品目:まずは「家電」と「寝床」から
- 情報源のリアル:「SNS」vs「あえて見ない」の二極化
- 購入チャネルと行動:日用品は「リアル」、高額品は「リアル×EC」
- 新生活を迎えるZ世代へのマーケティングコミュニケーション示唆
1. 購入品目:まずは「家電」と「寝床」から
新生活準備において具体的に何をリストアップしているか(購入予定か)を抽出したところ、生活の基盤となる「大型家電」と「寝具・収納」に集中。生活インフラとして機能する家具家電の優先順位は言わずもがな高い結果となりました。
これらの家具家電は大型で持ち帰りが難しく、配送手配が必要です。特に3〜4月の繁忙期は配送が遅れるリスクがあるため、「入居日に間に合わせるためには、早く決めなければならない」という締め切り意識が働いている様子がインタビューコメントから多く見られました。
また、若いZ世代に特有の意識として面白いのは「部屋のベース(余白)を確定させたい」=空間設計に関する意識の高さです。特に「収納家具」や「ベッド」は、部屋の床面積を大きく占有します。
これらを先に配置しないと、残りのスペースに置けるインテリア(ラグ、テーブルなど)や、動線が決まりません。限られたワンルームなどの空間を有効に使うために、「まず大物を置いて、残りのスペースを把握したい」という心理が働いています。
SNSで「おしゃれな雑貨」を探しつつも、実際の行動は「生活の基盤固め」から着実に進める、こういった一連の行動にもZ世代の堅実さがよく表れています。
2. 情報源のリアル:「SNS」vs「あえて見ない」の二極化
新生活準備の情報源として、「SNS」が最多である一方、「特になし(情報を見ない)」という回答が非常に多く見られました。これは「情報の透明性への感度」と「失敗の定義」の違いが大きく影響しています。
「SNS見ない派」の最大の動機は、インフルエンサーマーケティングへの不信感です。彼らは、「おすすめ」として紹介されている商品が、本心からの推奨なのか、企業からの案件なのかを常に見極めようとしています。
この「裏を読む」作業に疲れた層が、SNSを情報源から除外しています。さらに、「(購入体験の)失敗」の捉え方にも違いがあります。
「SNS活用派」は「みんなが使っている」「口コミが多い」ことを安心材料とします。ハッシュタグ検索で雰囲気や実際の部屋に置いた感じを確認し、イメージ通りの生活ができるかを重視します。
一方で、「SNS見ない派」は画像加工や演出された世界観を疑っており、「自分の目で見た質感」や「店員というプロの意見」のみを事実として認定します。彼らにとっての失敗回避は、実店舗での現物確認でしか達成されません。
また、この新生活時期のZ世代にある程度共通する点としては、「情報過多による決断麻痺の回避」です。無限に情報が出てくるSNSは、逆に迷いを生じさせます。
新生活準備はやるべきことが山積み(手続き、引越し、買い出し)であるため、あえて情報を遮断し、「親(経験者)」や「目の前の店舗にあるもの」に選択肢を絞ることで、決断のコストを下げようとする合理的判断が働いていると考えられます。
つまり、Z世代における情報源の二極化とは、単なるデジタルリテラシーの差ではなく、「商業的な情報に対する防衛本能の表れ方の違い」と言えます。
企業側は、SNS多用派には「映える利用シーン」を提供しつつ、SNS見ない派には「嘘のないスペック情報」や「誠実な接客」でアプローチするという、二段構えの戦略が必要と言えるでしょう。
Insight Voice
A.SNS活用派(ハッシュタグ検索・雰囲気重視)
「近年は商品をお勧めする投稿にPR表示がつくようになったので信頼できると思う」
「いろんな情報を知るためにティックトック、信頼できる情報を知るために親」
「SNSで見て決める→店舗で見る→ECとの値段、還元率、到着日付などを加味して
実店舗で買うかECで買うか決める」
B.情報遮断・独自路線派(PR不信・直感重視)
「(信頼できる属性は)特にない。自分の目で見て良いと思ったものを信じる」
「信頼していません。PRや案件が多いと感じるから」
「特にないです。自分であらゆる商品を比較検討しやすくていいものを買います」
C.親・店員重視派(失敗回避・リアルな助言)
「親に相談する」
「SNS、親、年上の知り合いに、用意したほうがいいもの、必ず必要なもの、お得に買える店舗情報などを調べたり聞いたりする」
「店頭での商品や店頭スタッフの意見」
3. 購入チャネルと行動:日用品は「リアル」、高額品は「リアル×EC」
〜失敗したくないからこその複雑なルート〜
日用品を「リアル店舗」で買う理由は送料と時間の「ムダ」を嫌う合理性に紐付いています。
1つ目は、「送料負け」の回避です。
単価の安い日用品に送料を払う(あるいは送料無料ラインまで無理に買い足す)ことをZ世代は「損」と捉えます。
2つ目は、即時性(タイパ)の重視です。
新生活の入居当日は「すぐに使いたい」ものが山積みです。
配送待ちのタイムラグを許容できず、ドラッグストアでまとめて買ってその場で持ち帰る方が、時間対効果(タイパ)が良いと判断しています。
一方で、高額商品は「リアル×EC」で検討します。
これは、デジタルで「絞り込み」、リアルで「答え合わせ」をする失敗回避行動の表れです。
単価が高い家具・家電において、Z世代は「イメージと違う」という失敗を極度に恐れます。
そのため、「リアル(店舗)」と「EC」のいいとこ取りをする複雑なジャーニーを辿っていることがインタビューコメントでも散見されました。
例えば、EC(ネット)の役割は「明確な決済場所」です。
店舗で実物を確認して「買う決心」がついた後、最も安く買える場所、ポイント還元率が高い場所、配送指定がスムーズな場所を比較し、最終的な決済場所としてECを選んでいます。
今回の最新リサーチから見えてくるZ世代は、これまでのZ世代に関する定説で言われているような、「EC好き」なわけでも「店舗回帰」しているわけでもありません。
「小さな買い物は手間とコストを最小限に(リアルで即決)」、「大きな買い物は失敗リスクとコストを最小限に(リアルで確認しECで決済)」というように、商材の特性に合わせてチャネルを最も合理的に使い分けているというのが実態です。
このため、極端なインタビューコメント例では、「ECで安さを確認してから店舗で値引き交渉をする」という強かな行動すら見受けられました。
結果的に、彼らの購買検討ジャーニーは複雑化しているように見えてしまい、企業側から「Z世代はわからない」「Z世代は難しい」と言われてしまっている、これが実態です。
Insight Voice
A.日用品(ドラッグストア・スーパー)
「できれば購入した商品をまとめて発送できる実店舗で入居前に揃えておく」
「その場で見て安かったら買う」
B.高額品(実店舗+EC併用)
「SNSやYouTubeで商品の特徴を把握し、実店舗とインターネットで価格の違いを比べて安い方で購入する」
「漠然と革製品を贈りたい→総合モールで歩きながら探す→店舗の店員さんにおすすめを聞く→店舗で購入。
店員さんの人柄と値段が決め手。」
Insight Action
A.徹底比較型(SNS起点)
SNSで候補を保存 → 比較サイトでスペック確認 → 店舗で実物を見てサイズ感確認 →最も安いECサイトで購入
B.店員相談型(店舗起点)
自分でPCについて調べる → 電気屋へ行って話を聞く(2、3店舗) →値切り交渉 → 購入
C.直感・確認型
SNSで発見→詳細をインターネット検索→比較→もっと気になれば店舗で実物を見る→インターネットと店舗、総合的に安い方で購入。
本当にほしいと思えるかどうか、自分に必要かどうかが確信できるかが大切。
新生活を迎えるZ世代へのマーケティングコミュニケーション示唆
今回のデータ分析から導き出される、Z世代に向けたマーケティングコミュニケーションの新たな視点として、以下の3点が挙げられます。
1.「情報遮断層」は店舗で捕まえるしかない
「SNSを見ない」「検索しない」という層が一定数存在します。
彼らは「店舗での偶然の出会い」や「店員のアドバイス」、そして「親の意見」を決定打にしています。
2. 実は、親は「最強のインフルエンサー」
コメントに頻出したのが「親」というキーワードです。
資金援助だけでなく、新生活の先輩としての「信頼できるアドバイザー」の役割を果たしています。
示唆:
親世代(40-50代)に向けた「新生活準備リスト」や「子供に持たせたい家電」といった訴求も、間接的にZ世代の購買決定に強く影響します。
3. 店舗は「最終確認の場(Confirmation Place)」
ECで購入する層も含め、多くのユーザーが途中で「店舗」を挟みます。
情報遮断層を除き、彼らが店舗に求めているのは、商品の発見ではなく「答え合わせ(サイズ感、質感、本当に必要かどうかの確信)」です。
示唆:
店頭ではスペックを並べるよりも、「この部屋の広さならこのサイズ」「触り心地の比較」など、Webでは得られない感覚的な確証を提供することが、最終的な購入(たとえそれが自社ECであっても)を後押しします。
そのうえで自社商品は日用品か高額商品か、コミュニケーションをうまく使い分ける必要があります。
■この調査で使用した調査サービス
エモミルリサーチのAIインタビュー調査
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<例>「生活者起点のリサーチ&マーケティング支援を行なうエモミルリサーチが実施した調査結果によると……」
■「エモミルリサーチ」について
URL :https://emomilresearch.com/
このレポートの執筆者
渡辺 寛紀
ヴィアゲート株式会社 / 共同創業者・CBO
大学院卒業後、株式会社JINSの新規事業開発室にて、生体データを活用したIoTウエアラブル「JINS MEME」の企画開発に従事し、BizDev、PMとして多くのアライアンス構築をはじめ、事業を推進。JINS退社後はマーケコンサルを経て、セーフィー株式会社の新規ビジネス開発室へ参画。その後、ヴィアゲートを共同創業しCBOとして「エモミル」を統括。企画、マーケターとして一貫して新規事業開発に従事。