調査背景
引越しをする際の価値観と、コロナ禍において物件選びの価値観が変化したかもしれません。
本調査は、消費者のレンタルサービスに関する利用実態や利用目的、ニーズについて自主調査を行い、消費者の基本的な意識を明らかにすることによって、本格的なインサイト調査の入口となる示唆を得る目的で実施しました。
調査概要
- 株式会社ヴィアゲートが提供するエモミルリサーチのアンケート機能を利用したWEBアンケート
- 調査の対象:モニター調査アプリ「エモミル」の登録モニターのうち、全国の10代〜70代の男女
- 有効回答数:507名
- 調査実施日:2024年4月22日(月)~2024年4月22日(月)
①これまでの引越し回数と理由
これまでの引越し回数としては、5回以上が全体の%と最多でした。
20代に絞ってみると、1回、2回、3回の引越し経験をした人の割合はそれぞれ20%前後と均等に分布しており、30代では、5回以上引越しを経験をした人の割合が21.1%と最も高くなっています。
引越しの理由としては「通学・通勤・転勤」が全体の28%と最多で、次点で「結婚・離婚」が全体の24%でした。
その他の理由としては、マンションや家を購入したことで定住するためであったり、住まいや周辺環境など居住空間そのものへの不満を感じて引っ越しをしている人も見られます。
事情はさまざまですが、生活者はライフステージの変化によって引っ越しを決断しており、社会的地位や年齢が上がるごとに引越し回数が増加していることが分かりました。
②引越し先の「物件」と「街(市区町村)」を選ぶ基準
「家賃・価格」がすべての年齢層で最も重視されている基準で、特に40代では32.0%と最も高い割合でした。
「間取り」は30代~40代でそれぞれ20%前後と重視されており、居住空間の広さや使い勝手を重視する傾向が見られます。
「立地・周辺環境」は、40代~50代でそれぞれ16%前後と最も重視されており、年齢が高くなるにつれて周辺環境の良さを重視する傾向があることが分かります。
建物の築年数や部屋の階数、方角などの優先度は低くなっています。
「通勤・通学時間」は全年代で最重視されている項目の一つで、特に働き盛りの20代と40代がそれぞれ25%程度と高い割合になっています。
「収納の多さ」は50代が最も高い割合(18.8%)を示しており、40代(15.6%)、30代(14.3%)と続きます。年齢が上がるにつれて、収納の必要性が高まると推測することができます。
また、「リフォーム済み」は 60代以上で最も高い割合(15.6%)を示しており、高齢の生活者は設備の新しさや綺麗な状態を好む傾向があることが分かります。
各年齢層において「通勤・通学のしやすさ」が最も高い割合を示しており、特に40代では30.7%、30代では26.6%となっており、これらの年齢層で特に通勤や通学の利便性が重視されていることが分かります。
次に高い割合を示しているのは生活の質を左右する要素である「周辺環境の充実さ」で、40代で22.8%、50代で21.8%となっています。
「治安の良さ」も各年齢層で一定の割合を占めており、特に30代で16.2%、40代で15.3%となっています。これは、安全な環境での生活が求められていることを示しています。
通勤・通学のしやすさ、周辺環境の充実、治安の良さの3点が居住エリアを選択する際の判断基準になっていると言えます。
③コロナ禍における引越しの、物件に求める条件の変化の有無
「特に変わらない」と回答した人は全体の48.9%で、全年代で見た際も、物件選びの基準は新型コロナウイルスには左右されない傾向があることが分かりました。
その中で、求める条件が変わったと答えた生活者のニーズを年代ごとに見てみると、
20代は「部屋数を増やしたい」(13.7%)、30代は「日当たりがいい」(12.2%)と「宅配・置き配ボックスがある」(11.0%)、40代は「日当たりがいい」(13.3%)と「通信環境がいい(インターネット完備や無料など)」(9.8%)、50代は「日当たりがいい」(13.9%)と「遮音性に優れている」(8.4%)という結果になりました。
リモートワークの普及などによって在宅時間が長時間になり、快適にしていく動きは全体で共通して見られますが、年代ごとにやや異なるニーズがあることが分かりました。
コロナ禍の引越しの際の契約までの期間、問合せた物件数を調査したところ、「コロナ禍に引越しをしていない」という回答者が全体の半数以上を占めました。
その中で引越しをした人に絞って、物件の契約までの期間を見てみると、全体では1ヶ月~3ヶ月未満が最多、僅差の次点が1週間~1ヶ月未満でした。
年代ごとで最多の期間を見ると、20代が1週間〜1ヶ月未満(20.4%)、30代が1ヶ月〜3ヶ月未満(11.4%)、40代が1ヶ月〜3ヶ月未満(6.3%)という結果になり、20代は短い期間で検討・契約をしていました。
問合せた物件数は、20代~30代で1件、2件、3件がそれぞれ10%ほどで、大きな差は見られませんでしたが、5件以上問い合わせた人は40代の生活者が最も多い割合でした。
回答者の不満を分析すると、「対応の質に関する不満」、「費用に関する不満」、「情報提供に関する不満」、「物件の質や選択に関する不満」の4つに分けることができます。
「対応の質に関する不満」
不動産会社の対応が適切ではなかったり、丁寧さが欠けていると感じる声が多く見られ、契約を急かすような対応や不親切な態度に対する不満もあります。
「費用に関する不満」
仲介手数料が高い、敷金礼金のシステム、退去時の費用が高いといった費用に関する不満が挙げられています。
「情報提供に関する不満」
物件のデメリットや隣人トラブルなど、不利な情報が隠されている、実際の物件と情報が違ったという声があります。
「物件の質や選択に関する不満」
条件に合わない物件を勧められた、おとり物件の存在、物件のクリーニングやメンテナンスが不十分であるといった点が指摘されています。
これらのことから、不動産会社に対しては、より透明性のある情報提供、費用の明確化、丁寧な顧客対応が求められていることが分かりました。
■この調査のその他の質問
- あなたはファッション、スキンケア、コスメ等について考えながら買い物をすることは好きですか(単一選択)
■この調査で使用した調査サービスはコチラ
エモミルリサーチのアンケート機能:https://emomilresearch.com/product/
※この調査では実際にエモミルリサーチのダッシュボード上で表示されるグラフを利用しています。
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<例>「生活者起点のリサーチ&マーケティング支援を行なうエモミルリサーチが実施した調査結果によると……」
■「エモミルリサーチ」
URL :https://emomilresearch.com/
このレポートの執筆者
土川 彩音
ヴィアゲート株式会社 / プロデューサー・デザイナー
「エモミルリサーチ」のプロダクトデザインやグラフィックデザイン全般を担当。プロデューサーとして企業のみなさまの調査設計サポートやコンサルティングをしております。キャンペーン企画やアカウントプランニング等も得意としておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。