調査背景
SDGsの浸透や経済市況が変化することで、モノに関する生活者の価値観が「所有」から「共有」へ変化が進む昨今、様々なレンタルサービスが登場しています。本調査は、消費者のレンタルサービスに関する利用実態や利用目的、ニーズについて自主調査を行い、消費者の基本的な意識を明らかにすることによって、本格的なインサイト調査の入口となる示唆を得る目的で実施しました。
調査概要
- 調査の方法:株式会社ヴィアゲートが提供するエモミルリサーチのアンケート機能を利用したWEBアンケート
- 調査の対象:モニター調査アプリ「エモミル」の登録モニターのうち、全国の10代〜70代の男女
- 有効回答数:502名
- 調査実施日:2024年4月9日(火)~2024年4月14日(日))
①レンタルサービスの利用頻度/利用内容/利用のきっかけ
最近のレンタルサービスの利用状況では、「よく利用している」と回答した人は全体の4%、「たまに利用している」と回答した人が全体の16%となり、この2つを合わせある程度レンタルサービスを利用している生活者は全体の20%となりました。一方で本調査では、「ほとんど利用しない」と「利用したことはない」の回答を合わせたレンタルサービスを利用しない層は全体の80%にのぼる結果に。
利用している/利用したことがあるレンタルサービスの内容としては、「DVD/CD/ゲーム/本/漫画(電子版を含む)」が全体の37%と最も多く、「車/バイク/自転車/キックボード」が20%と続く結果となりました。近年、新たなレンタルサービスとして登場した「家具家電(7%)」、「時計/服/バッグ(4%)、「子供用品(3%)」なども少なからず利用されていますが、本格的な市場への浸透にはもう少し時間が必要と推察されます。
レンタルサービスを知ったきっかけとしては、レンタルサービスを利用したことがないと回答した人を除くと「インターネット検索/インターネット広告」が27%と最も高く、次いで「知人や家族からの紹介(11%)」、「SNS(9%)」となりました。また、「新聞記事や折込チラシ(3%)」は低く、認知経路の主体がデジタル媒体である実態から、レンタルサービスの提供物や提供場所もデジタルがメインになったと言えるでしょう。
一方で、「知人や家族からの紹介(11%)」も一定数あることから、実物を伴うレンタル品や、便利なレンタルサービス、そのサービスでレンタルできるデジタルコンテンツの良さが間接的な口コミとなって、認知獲得を担っている側面もあるでしょう。
②レンタルサービスを利用する理由
レンタルサービスを利用する理由としては「イベントなど一時的にしか利用しないから」が20%と最も高く、次いで「節約できるから(19%)」、「購入を検討しているものを試せるから(10%)」、「特別な維持や管理費などの負担が少ないから(10%)」、「高額な商品を気軽に体験することができるから(8%)」となりました。この回答を分類することで、生活者のインサイトには、「金銭的な節約やコスト軽減」と「検討する製品の価値確認」、「高額商品への憧れの実現」という3つの動機が存在することが、本調査において確認されました。
一方で、「SDGsに貢献できるから(1%)」の回答率の低さから、昨今の所有から共有へ、という意識の定着は動機の発現までに至っておらず、レンタルサービスの利便性が発現しているに留まるものと推察されます。
③レンタルサービス利用に対する不安や懸念
レンタルサービスに対する不安や懸念としては「レンタル料金」が33%と最も高く、次いで「紛失や壊した際の補償や弁償(21%)」、「商品返却の簡易さ(21%)」、「商品の状態や清潔さ(18%)」、「レンタルできる商品の品揃え(12%)」、「プラン/契約内容の明朗さ(10%)」となりました。レンタルサービスも他の商品やサービス同様、料金についての関心の高さが観察されると共に、保証や弁償といったレンタルサービス特有の規約整備に関心が高いこともわかりました。特にこの規約整備に関連して、借りたモノを返す返却の仕組みと簡易さが、規約整備とセットで求められていることがわかります。
一方で、車を筆頭に家具家電やアパレル商材など、有形財の場合は、他人が利用したモノをレンタルする際の商品の状態や清潔さなど、借りる側から貸す側に対する品質面でのニーズの高さが確認されました。
一部のカーシェアリング等を中心に、清掃を借主の自主性に任せるタイプのサービスも存在していることから、
清潔さに関する品質担保は、消費者の注目の集まるところとなっているようです。
④レンタルサービスに関する望むことや不満
新たに様々なジャンルに対するレンタルサービスの要望が散見されました。例えば、筋トレ器具などは、現状では購入かジム通いが当たり前ですが、システム化されたユニット機材を自宅で使いたい、というような具体的な意見が確認されました。さらに、既存のレンタルアイテムのさらに上位モデルを求めるニーズや、ゲームのプロをレンタルしたいなど、通常の購入体験では実現することができない内容をレンタルサービスに求める声なども目立ちました。また、レンタルサービスのニーズが、人や生き物に及ぶような意見もあり、モノから人や生き物にニーズが移った際の、倫理面でのサービス整備の必要性なども、今後は議論の余地があるかも入れません。
■この調査のその他の質問
- あなたは今後レンタルサービスを利用したいと思いますか。(単一選択)
■この調査で使用した調査サービスはコチラ
エモミルリサーチのアンケート機能:https://emomilresearch.com/product/
※この調査では実際にエモミルリサーチのダッシュボード上で表示されるグラフを利用しています。
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<例>「生活者起点のリサーチ&マーケティング支援を行なうエモミルリサーチが実施した調査結果によると……」
■「エモミルリサーチ」
URL :https://emomilresearch.com/
このレポートの執筆者
渡辺 寛紀
ヴィアゲート株式会社 / 共同創業者・CBO
「エモミルリサーチ」全般のブランドコンセプトの管理、企画、クライアント様へのコンサルティングを担当。自主調査レポートでは多くの企業様へ、まずは事実に基づくベーシックなデータと推察をお届けし、少しでも生活者インサイトやその調査のヒントとなることレポートを作成のモットーに。
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