「見ているだけ」では終わらせない!視線計測×AIインタビューで解き明かす、花粉症ユーザーの”行動”と”本音”の深層心理
📑 目次
花粉症シーズン、多くの企業が自社製品やサービスの魅力を伝えようと、様々なマーケティング施策を積極的に展開しています。しかし、ユーザーはそのメッセージを本当に受け取っているのでしょうか?従来のアンケート調査だけでは、ユーザーの表面的な意識しか捉えられず、実際の行動や隠れた本音を見逃してしまう可能性があります。
私たちヴィアゲートは、この課題を解決するため、独自の「視線計測技術」と「AIインタビュー技術」を組み合わせた自主調査を実施しました。
本記事では、花粉症対策メガネの代表的なWEBサイトである、①JINS社と②Zoff社の2つのWEBサイトを対象に、WEBサイトの視聴により得られた生体データ、AIインタビューによる定性データ、視聴前後の意識調査のアンケートデータ、の3つを掛け合わせたトライアングル分析の結果例をご紹介したいと思います。
※本調査では、2025年4月時点でのWEBサイトに対するコンテンツ視聴結果およびAIインタビュー結果を掲載しております。現在のWEBサイトとはコンテンツ内容が異なる可能性がございます。
調査で判明した主要ポイント
この調査を通じて、視線計測とAIインタビューを組み合わせることで、以下の重要なインサイトが得られました。
- 注目箇所の特定(生体データ): ユーザーがWEBサイトの「どこを」「どれくらい」見ているのかを客観的に把握できました。特にJINS社のメインビジュアルが強い関心を集めていることが明らかになりました。
- 注目理由の深掘り(AIインタビューデータ): なぜその箇所に注目したのか、何を感じたのかという「理由」をAIインタビューで深掘りできました。「99%カット」という具体的な数値への驚きが、製品への期待感に繋がっている様子が確認されました。
- 購入意向への影響(アンケートデータ×AIインタビューデータ): どのような情報接触がユーザーの購入意向を高めるのか、あるいは阻害するのかを具体的に特定できました。製品デザインの進化や機能性への理解が購入意向を高める一方で、依然として「見た目(デザイン性)」への懸念や「必要性の低さ」が購入の壁となっている実態も見えてきました。
- 具体的な改善提案: これらの分析結果に基づき、各WEBサイトの強みを活かし、弱点を補うための具体的な改善策を導き出すことができました。
1.視線計測分析:視線計測が暴く!ユーザーはサイトの「どこ」に注目しているのか?
調査の進め方
調査対象者
まず、スクリーニング調査(N=5148)を実施し、「花粉カットメガネが有効な対策手段になり得る」かつ「目のかゆみ等の症状を持つ」ユーザーを選定しました。そのうち、本調査にご協力いただけた266名のユーザーを対象としました。
本調査では、これらのユーザーを花粉カットメガネに対して「効果的と思う層(YES層)」と「効果的と思わない層(NO層)」に分類。各層のユーザーに JINS社(https://www.jins.com/jp/protect/)およびZoff社(https://www.zoff.co.jp/shop/contents/protect.aspx)の花粉対策メガネ関連ページを閲覧してもらい、その際の視線の動きを計測しました。
- JY(対象者:34人):
- JINSサイトを閲覧
- 花粉カットメガネに対して「効果的と思う層(YES層)」
- JN(対象者:99人):
- JINSサイトを閲覧
- 花粉カットメガネに対して「効果的と思わない層(NO層)」
- ZY(対象者:34人):
- Zoffサイトを閲覧
- 花粉カットメガネに対して「効果的と思う層(YES層)」
- ZN(対象者:99人):
- Zoffサイトを閲覧
- 花粉カットメガネに対して「効果的と思わない層(NO層)」
それぞれの参加者の年代性別が均等になるように割付を行った上で調査を行っています。
WEBサイトのエリア定義
WEBサイトのどの部分が注目されたかを分析するために、JINSとZoffのサイトの各エリアを以下のカテゴリに分類しました。
- メインビジュアル/導入
- 製品ラインナップ
- 機能・性能訴求
- 信頼性・エビデンス
- その他情報・フッター
エリア定義の詳細:以下に各サイトのエリア分類を示します。エリア番号は上から割り振っています。
Zoffのエリア分類:
- “01. 花粉対策メガネ Zoff PROTECT”: “メインビジュアル/導入”
- “02. 商品一覧”: “製品ラインナップ”
- “03. 2WAY メインビジュアル”: “メインビジュアル/導入”
- “04. 2WAY シリーズ特徴”: “機能・性能訴求”
- “05. 2WAY GLASS LINE UP”: “製品ラインナップ”
- “06. 2WAY SUN GLASS LINE UP”: “製品ラインナップ”
- “07. レンズのくもり対策”: “機能・性能訴求”
- “08. BASIC メインビジュアル”: “メインビジュアル/導入”
- “09. BASIC シリーズ特徴”: “機能・性能訴求”
- “10. BASIC LINE UP”: “製品ラインナップ”
- “11. KIDS&JUNIOR メインビジュアル”: “メインビジュアル/導入”
- “12. KIDS&JUNIOR シリーズ特徴”: “機能・性能訴求”
- “13. KIDS&JUNIOR LINE UP”: “製品ラインナップ”
- “14. Disney モデル”: “製品ラインナップ”
- “15. ULTRA+ LINE UP”: “製品ラインナップ”
- “16. ULTRA+ シリーズ特徴”: “機能・性能訴求”
- “17. ULTRA+ 花粉カット&飛沫検証”: “信頼性・エビデンス”
- “18. ULTRA+ LINE UP”: “製品ラインナップ”
- “19. その他おすすめ商品”: “その他情報・フッター”
- “20. フッター”: “その他情報・フッター”
JINSのエリア分類:
- “01. 花粉を卒業するメガネ。JINS PROTECT”: “メインビジュアル/導入”
- “02. 商品一覧”: “製品ラインナップ”
- “03. BASIC メインビジュアル”: “メインビジュアル/導入”
- “04. BASICシリーズ特徴”: “機能・性能訴求”
- “05. BASIC LINE UP”: “製品ラインナップ”
- “06. KIDS & JUNIOR メインビジュアル”: “メインビジュアル/導入”
- “07. KIDS & JUNIOR シリーズ特徴”: “機能・性能訴求”
- “08. KIDS & JUNIOR LINE UP”: “製品ラインナップ”
- “09. MOIST メインビジュアル”: “メインビジュアル/導入”
- “10. MOISTシリーズ特徴”: “機能・性能訴求”
- “11. MOIST ウォーターポケット”: “機能・性能訴求”
- “12. MOIST LINE UP”: “製品ラインナップ”
- “13. FINE メインビジュアル”: “メインビジュアル/導入”
- “14. FINE シリーズ特徴”: “機能・性能訴求”
- “15. FINE SET”: “製品ラインナップ”
- “16. FINE LINE UP”: “製品ラインナップ”
- “17. 専門医監修の実証実験”: “信頼性・エビデンス”
- “18. 実験監修医”: “信頼性・エビデンス”
- “19. フッター”: “その他情報・フッター”
視線計測で見えた驚きの結果
「注目スコア」とは?
エモミルでは、WEBサイトがどれだけ見られているかを示す指標として「注目スコア」を用いています。これは、WEBサイトの特定エリアにユーザーの視線がどれだけ滞在したか、内容が読み込まれたか、あるいは読み直しがあったかなどを定量的に示すものです。
JINS vs Zoff 注目エリアの違い:
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- サイト全体の注目度:JINSのWEBサイト全体の方が、ZoffのWEBサイトに比べて注目スコアが約10ポイント高く、より詳細に閲覧されている傾向が見られました。
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- カテゴリ別の注目度:「その他情報・フッター」を除き、ほとんどのカテゴリでJINSの方がZoffよりも高い注目スコアを獲得しました。特に、「メインビジュアル/導入」カテゴリにおいては、JINSがZoffを35ポイントも上回る結果となりました。「信頼性・エビデンス」カテゴリは、両ブランドともに注目度は比較的低く、大きな差は見られませんでした。
ユーザーが最も注目したエリア:
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- JINSの「01. 花粉を卒業するメガネ。JINS PROTECT」というメインビジュアルは、注目スコア124.8を記録し、全エリアの中で圧倒的に高い注目を集めました。
- 参考として、JINSのWEBサイト全体のエリアごとの視線分析結果をご紹介します。
対象は「JN」で、彼らが特に注目したエリアの割合を以下の図で示しています。
- Zoffでは、製品ラインナップカテゴリの「02_商品一覧」エリアが最もよく見られていました。
YES層 vs NO層 視線の違い:
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- 「製品ラインナップ」への注目:YES層、NO層ともにこのカテゴリが最も注目されており、NO層では54%、YES層でも45%を占めました。
- 「メインビジュアル/導入」への注目:YES層の方がNO層よりも約10ポイント高い結果でした(YES層: 35% vs NO層: 25%)。
- 「信頼性・エビデンス」への注目:全体的な注目度は低いものの、NO層の方がYES層に比べて約2倍の比率でこのエリアに注目していました(YES層: 1.5% vs NO層: 3.5%)。
購入意向を高めるキラーコンテンツは?
WEBサイト視聴前後の購入意向の変化(1ポイントでも向上したユーザーを対象)を分析しました。購入意向度が向上したユーザー数は、JINSサイト閲覧者で36人、Zoffサイト閲覧者で25人でした。
購入意向度の評価基準
- 1点: 使う予定はない(非興味層)
- 2点: 以前は使用していたが、現在は使用していない(使用後離脱層)
- 3点: 興味はあるが、すぐに購入する予定はない(興味層)
- 4点: 使用していないが、購入を検討している(購入検討層)
- 5点: 現在使用している(利用層)
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- 購入意向向上層が注目したエリア:JINSサイト閲覧者のうち購入意向が向上した層では、特に「01. 花粉を卒業するメガネ。JINS PROTECT」を含む上位4エリアに注目が集中し、全体の54%(32件)を占めました。
- 購入意向向上層と非向上層の比較:
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- どちらの層も「製品ラインナップ」を最もよく閲覧していましたが、その割合は購入意向非向上層(54.9%)の方が購入意向向上層(42.6%)よりも高い結果でした。
- 一方で、「機能・性能訴求」や「信頼性・エビデンス」といったカテゴリは、購入意向向上層の方がより注目している傾向が見られました。特に「信頼性・エビデンス」に関しては、サンプル数は少ないものの、購入意向向上層の方が非向上層に比べて約3倍近く注目していました。
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2.AIインタビュー分析:AIインタビューが深掘り!ユーザーの「なぜ?」に迫る
AIインタビューとは?
AIインタビューは、従来のアンケートの自由記述やデプスインタビューとは異なる新しい手法です。AIがユーザーの発話内容をリアルタイムに解析し、関連性の高い質問を自動生成することで、より自然な会話の流れの中で深層心理を引き出すことができます。この手法により、アンケート調査と比較して不正回答や「特になし」といった無効回答の発生率が78.6%減少し、平均回答文字数も1.3倍に増加するという効果が報告されています。
今回の調査では、WEBサイトの印象変化の理由、購買意欲の変化/非変化の理由、最注目エリアに注目した理由を聞くようなインタビューを行なっています。
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AIインタビューで明らかになった「本音」
購入意向度が増加したユーザー層全体に見られた傾向:
- デザイン・見た目の進化(24名):購入意向が向上した多くのユーザーが理由として挙げたのが、「デザイン・見た目」の改善でした。かつての「いかにも花粉対策用」といったゴツゴツしたデザインのイメージが払拭され、普段使いしやすいおしゃれなデザインになったことが、購入へのハードルを下げたようです。(各ブランドの具体的な反応については、以下のそれぞれのセクションをご参照ください。)
- 機能性・効果への期待(17名):次に多かったのが「機能性・効果」に対する新たな発見や期待感です。特に「99%花粉カット」といった具体的な効果を示す情報が、ユーザーに驚きとともに強い関心を与えました。(各ブランドの具体的な反応については、以下のそれぞれのセクションをご参照ください。)
- 個人の状況・必要性との合致(7名):「症状が悪化したら考えたい」「薬だけでは限界を感じたら使いたい」といった、個人の状況変化に応じた潜在的なニーズも見られました。
Zoffサイト閲覧者に見られた特徴:
Zoffのサイトを閲覧し購入意向が向上したユーザーからは、特にデザインの進化、機能性・効果、コストパフォーマンスに関する肯定的な意見が聞かれました。
- デザイン・見た目:「花粉メガネも普通のメガネと変わらないくらいおしゃれだなと感じた。…新しいデザインは軽そうで外出先にもおしゃれメガネとして身につけられそうなので実際にかけて試してみたくなった。」(30代女性、Zoffサイト閲覧、興味層→購入検討層)
- 機能性・効果:「花粉カットメガネはフード部分が着脱できず…フードが取り外せるというのが良かった。」(20代女性、購入予定なし→購入検討層)
- 機能性・効果:「(くもりどめレンズが)標準装備で付いているのは大変ありがたい。」(20代女性、興味層→購入検討層)
- コストパフォーマンス:「お値段もそんなに高くなく機能的に素敵でした。…3,000円程度であれば購入しやすい。」(40代女性、興味層→購入検討層)
JINSサイト閲覧者に見られた特徴:
JINSのサイトを閲覧し購入意向が向上したユーザーからは、特にデザインの進化や機能性・効果に対する期待の声が聞かれました。
- デザイン・見た目:「以前はいかにも花粉対策のゴーグルという印象でした。…この眼鏡なら花粉用にも見えないくらい自然に見えると感じました。」(50代女性、JINSサイト閲覧、使用後離脱層→購入検討層)
- 機能性・効果:「存在自体をあまり知らなかったので、目から鱗です。99%も花粉を除去できるメガネがあるなんて、驚きでした。」(40代男性、JINSサイト閲覧、購入予定なし→購入検討層)
- 機能性・効果:「花粉症対策のメガネとかを医学的な観点で作っているのは知らなかった。信頼に値するので花粉症で目が辛くなった時は買う第一候補になると思う」(20代男性、JINSサイト閲覧、購入予定なし→購入検討層)
注目エリアへのリアルな反応理由:
JINSのメインビジュアル「01. 花粉を卒業するメガネ。JINS PROTECT」がなぜこれほどまでに注目されたのか。その理由を探ると、多くのユーザーが「99%カット」という具体的な数値に強いインパクトを受けていることが分かりました。
- 「99パーセント花粉カットにびっくりした。実際に試して効果を実感した」(50代女性)
- 「そんなに花粉をカットできるんだと思った。散歩する時に花粉を気にせずできると思う」(20代男性)
購入意向度が上がらないユーザーの理由:
- 必要性を感じない(59件/206件):最も多かったのは、「花粉症の症状がそれほど重くないため、現時点では必要性を感じない」という意見でした。
- 「種類が増えたことは認識したが、花粉症がそれほど重症ではないため、現時点では必要性を感じていない」(50代女性、JINSサイト閲覧)
- 「デザインが可愛く効果もありそうだと感じたが、普段メガネをかけておらず、症状も『そこまで必要ではない』レベルのため、緊急性が低い。」(20代女性、Zoffサイト閲覧)
⇒ 花粉症の“軽症層”には、まだ製品の魅力が十分に響いていない可能性があります。
- デザインへの不満(34件/206件):WEBサイトを見てデザインが改善されたと感じつつも、「普段使いするにはもっとかっこいい方がいい」といった、さらなるデザイン性を求める声も聞かれました。
- その他の意外な理由:
- 「安いメガネ屋さん」という先入観から、製品への期待値が低く、興味を持てない。
- 正面からの見た目はスタイリッシュでも、「横から見ると花粉カットのためのゴーグル感が出ていて、かけるのが少し恥ずかしい」。
- 「フードつけ外し」機能について、便利だと感じるユーザーがいる一方で、「面倒だから使わなくなりそう」と、かえって使用のハードルになると感じるユーザーもいました。
⇒ アンケートでは発見できない意外な発見もできます
3.視線計測×AIインタビュー:「顧客理解の深化」と「ビジネス成果」
「注目」と「理由」の融合が生み出す価値
視線計測によってユーザーが「どこを見たか」という客観的な行動データが明らかになり、AIインタビューによって「なぜそこを見て、どう感じたか」という深層心理に迫ることができます。この2つの技術を組み合わせることで、ユーザー行動の背景にある文脈やインサイトを、より深く、多角的に理解することが可能になります。
今回の花粉症対策メガネに関する調査では、以下の点が明確になりました。
- 視線計測からは、JINSのWEBサイトがZoffのWEBサイトよりも全体的によく見られており、特にJINSのメインビジュアル「01. 花粉を卒業するメガネ。JINS PROTECT」が突出して注目されていることが分かりました。
- AIインタビューでは、このメインビジュアルに注目したユーザーの多くが「99%以上花粉をカットする」という具体的な数値に驚き、それが製品の効果への期待感に繋がっていることが明らかになりました。
購入意向の向上に寄与する要因の特定
WEBサイト視聴前後の購入意向の変化を分析し、どの情報接触が態度変容に繋がったのかを、視線データとインタビュー内容から複合的に解析しました。
- 購入意向が向上したユーザー数は、JINSサイト閲覧者の方がZoffサイト閲覧者よりも1.44倍多い結果となりました。
- 購入意向が向上した理由としては、「デザイン・見た目の進化」と「機能性の向上」を挙げたユーザーが全体の67%を占めました。
- 一方、購入意向が上がらなかったユーザーでは、「必要性を感じない」が28.6%と最も多く、次いで「デザインへの不満」が16.5%でした。
4.WEBサイトの改善提案:調査結果から分かるWEBサイトの改善提案
今回の調査結果から、両社の花粉症対策メガネ事業をさらに伸長させるための、優先順位の高い提言をエビデンスと共に以下にまとめました。
JINS社への提案
JINS社のサイトが、全体的に注目度の高さが分かりました。特に、メインビジュアルの「99%カット」の表現がとても分かりやすく強く印象に残っています。
この魅力を生かしていくことが重要だと思います。
- 【WEBサイト改善】メインビジュアルの「99%カット」を横展開する
提案: メインビジュアル「01. 花粉を卒業するメガネ。JINS PROTECT」で示された「99%カット」というメッセージを、製品詳細ページなどサイト全体で一貫して目立たせるようにします。同時に、購入意向向上層が重視する「信頼性・エビデンス」関連エリア(例:「専門医監修の実証実験」)への導線を分かりやすく配置しましょう。
理由(調査結果より):- 視線計測:JINSメインビジュアルの注目スコアは124.8とZoffのメインビジュアル(54.1)を圧倒。
- 視線計測:「信頼性・エビデンス」カテゴリの最注目率は、購入意向向上層は6.6%に対して、購入意向非向上層は2.3%。
- AIインタビュー:JINSメインビジュアルに最注目したユーザーの51%が「99%カット」のメッセージを注目理由に挙げており、カット率への驚きが効果期待に直結している発言が多く見られました。
- 【マーケティング施策】「花粉を卒業」のユーザーメリットが伝わるコンテンツを拡充する
提案: 改善の余地はあるものの従来のイメージを大きく覆すほど花粉症眼鏡のデザインは進化を遂げていることがAIインタビューから分かりました。デザイン性の向上した「花粉を卒業するメガネ」というコンセプトを軸に、花粉から解放された快適な生活を具体的にイメージさせる共感型のコンテンツ(例:実際のユーザー体験談、専門家の声など)を拡充します。特に花粉症が軽症のユーザーに対して、花粉カットメガネを使うことで得られるメリットを訴求できると良いでしょう。
理由(調査結果より):- 視線計測:購入意向向上層が最も注目したエリアは、JINSメインビジュアル(24名/61名)。
- AIインタビュー:購入意向の向上理由で最も多かったのが「デザイン・見た目の進化」(24名/61名)。
- AIインタビュー:購入意向度が上がらないユーザーの理由で最も多かったのは、「必要性を感じない」という意見(59件/206件)。
Zoff社への提案
Zoff社の課題は、WEBサイト、特にメインビジュアルの注目度の低さです。製品ラインナップ自体は見られているため、導入部分での改善を最優先にしましょう。また、強みである「機能性・効果」は引き続き前面に押し出していきましょう。
- 【WEBサイト改善】メインビジュアルを抜本的に刷新し、Zoffならではの「刺さる一言」を
提案: 現状のメインビジュアルのメッセージである「KAFUN + UV 99% CUT」がきちんと伝わっていない可能性があります。KAFUNやUVというアルファベット表記から見直すと良いでしょう。また、花粉をカットすることで得られるユーザーのメリットを入れると効果的でしょう。理由(調査結果より):
- 視線計測:Zoffのメインビジュアル(54.1)はJINS(124.8)に比べ著しく注目度が低い。
- Zoffは「メインビジュアル/導入」カテゴリでJINSより35ポイント低い注目スコア。
- WEBサイト:Zoffサイト全体の注目度(61.8)ではJINS(51.8)を下回っている。
- 【マーケティング施策】Zoffの強みである「機能性・効果」の2WAYを前面に押し出す
提案: 「機能性・効果」に関して、購入意向の向上の理由に上げるユーザーがJINSに比べて多くいました。これは、「フードの着脱」による普通のメガネと花粉メガネの2通りの使い方ができる「2WAY」というコンセプトがユーザーに届いてることが分かります。WEBサイト以外のメッセージ戦略にもこの機能訴求を取り入れると良いでしょう。
理由(調査結果より):- 視線計測:ZoffのWebサイトのエリアで最も見られているエリアは「02.商品一覧」(116.9)と「05.2WAY GLASS LINE UP」(87.4)。
- AIインタビュー:Zoffサイト閲覧者の購入意向向上理由として「機能性・効果」を上げるユーザーが最多(10名/25名)。JINSは19.4%に対して、Zoffは40%が購入意向の向上の理由に挙げている。
両社共通の課題への提言
購入意向が向上しない理由として、両社ともに「普段使いするにはもっとかっこいい方がいい」というデザイン面でのニーズが依然として存在します。特に「横からの見た目」や「ゴーグル感」をいかに軽減し、より自然でスタイリッシュなデザインを追求するかが、今後の重要な開発ポイントと言えるでしょう。また、メガネをかけるほどの花粉症ではないという思い込みが多く見られます。そのため、利用ユーザーを増やすには、それらのユーザーへ訴求できる価値(例:将来的な花粉症の発症リスクの低下、花粉症メガネをかけるライフスタイルの提示)が重要でしょう。
5.結論:視線計測とAIインタビューが切り拓く、真の顧客理解
今回の自主調査を通じて、視線計測技術とAIインタビュー技術を組み合わせることが、従来の調査手法では捉えきれなかったユーザーの「無意識の行動」と「深層心理」を具体的に明らかにし、より的確なマーケティング施策やWEBサイト改善に繋がる強力な武器となることが明確に示されました。
特に、花粉症対策のようにユーザーニーズが多様化し、情報が氾濫している現代において、顧客一人ひとりのリアルな体験に寄り添い、そのインサイトを深く理解することの重要性はますます高まっています。ユーザーが何に注目し、何を感じ、そして何に心を動かされるのか。その答えは、客観的なデータと、ユーザー自身の「生の声」の中にあります。
ヴィアゲートは、これらの先進技術を活用し、お客様のビジネス課題解決に貢献してまいります。本調査のようなアプローチにご興味をお持ちいただけましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
■この調査で使用した調査サービスはコチラ
エモミルリサーチの視聴調査、AIインタビュー調査:https://emomilresearch.com/product/
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<例>「生活者起点のリサーチ&マーケティング支援を行なうエモミルリサーチが実施した調査結果によると……」
■「エモミルリサーチ」
URL :https://emomilresearch.com/
このレポートの執筆者
新冨 健太
ヴィアゲート株式会社 / 共同創業者・シニアプロダクトマネージャー
「エモミルリサーチ」のプロダクト企画、データ分析を担当。企業のみなさまのマーケティング業務を効率化するプロダクトを企画、推進しています。データ分析やプロトタイピングも得意としておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。